◆乾椎茸の有効成分について

『乾椎茸の特徴』

 我が国の代表的な栽培食用きのこで、きのこの発生時期や形態が異なる多様な品種が開発されています。栽培方法には原木を利用した原木栽培と、栄養分を添加したのこくずを用いる菌床栽培とがあります。野生のシイタケは北海道から沖縄まで全国に分布し、秋と春、広葉樹の倒木から発生します。

1.骨の発育促進作用 

 ビタミンD2の元になる物質エルゴステロールを多く含み、きのこを日光などに当てるとビタミンD2含量が大幅に増えます。また、骨粗鬆症の予防に有効なトレハロースを多く含むことが知られています。


2.コレステロールや血圧の降下作用 

 シイタケを食べることによって血中のコレステロール値が下がることがヒトやラットで確認されています。有効成分はエリタデニンです。また、シイタケには血圧を下げる作用もあり、ラットにシイタケや乾シイタケの水戻し汁を与えると血圧が下がることが確認されています。その有効成分としてアデノシンや4-アミノ酪酸などが考えられています。

 

3.血小板凝集阻害作用

 近年、血管の詰まりが原因となる心筋梗塞や脳梗塞が増えており、食品の血液サラサラ効果(血小板凝集を抑制する作用)に関心がもたれています。シイタケの、血液をサラサラさせる作用はきのこ類のなかでも強く、経口で摂取しても有効であると報告されています。グアニル酸は血液をサラサラさせる有効成分の一つであると考えられています。

 

4.抗酸化作用

  活性酸素やフリーラジカルはヒトの体内に発生し、攻撃的な酸化作用によって細胞を老化し、あるいはがんをはじめとする様々な疾病を引き起こします。活性酸素を消去する成分として、ビタミンCやE、ポリフェノールなどが知られていますが、シイタケなどのきのこ類にもビタミンC高含有のレモン汁と同等あるいはそれ以上の強い活性酸素消去作用があることが報告されています。シイタケからはこの作用の強いたんぱく質が単離されています。

 

5.肝障害抑制作用

  ラットにシイタケの粉末を経口で摂取させた試験では、肝障害の指標となるGOTとGPTの2種類の酵素の活性が3分の1以下に抑えられることが報告されています。

 

6.抗腫瘍作用

(1) 突然変異の抑制

  がんの発生は遺伝子にキズがつく(突然変異する)ことに始まります。きのこ類は野菜、果物と同様に遺伝子の変異を防ぐ効果をもつことが知られています。シイタケは、なかでも最も効果が高いグループ(71%以上抑制)の仲間です。

 

(2) シイタケの抗腫瘍性成分「レンチナン」

  レンチナンは食用きのこから抽出された唯一の抗がん剤で、β-グルカンの一種です。人間のがん患者による臨床試験などを経て、1985年に臨床薬として厚生省の承認を得ています。  レンチナンは注射薬として開発されましたが、シイタケのグルカン部分やレンチナンをマウスに食べさせることでがん細胞が縮小することが確認されています。レンチナンはきのこの傘が開き始めるころに含量が多く、採取した後は比較的すみやかに減少します。5℃貯蔵でも7日後には採取時から約20%少なくなるので、なるべく新鮮なシイタケを食べると良いでしょう。また、生シイタケを乾燥してもレンチナン含量は変わりません。シイタケの他の抗腫瘍成分として、培養菌糸体からはマンナンを主成分とするKS-2が、また、培養菌糸体とろ液からはブドウ糖とたんぱく質よりなるLEMとLAP、及びリグニンを主成分とするEP3が抽出されています。
 

 

7.抗インフルエンザ作用

  シイタケの胞子には、インターフェロン(インフルエンザの感染を阻止する作用をもつ)の生成を誘導する成分としてリボ核酸が多く含まれています。

 

HP『きのこ ー健康とのかかわりを科学する』より抜粋